【第3話 リトル・ダンサー】



秋道の秘伝書付きで火影に預けられた俺は養育係という名の監視の元で成長を続けた。
オレが異常であることはすっかり知れ渡っていて、皆捨てられた俺を例の生暖かい目で見やがる。
同情と異物に対する嫌悪の混ざった目だ。
火影は流石に見せないがご意見番の水戸角ホムラとうたたねコハルの目は、不審な点が見つかったら殺すと雄弁に語ってた。

もう、絵本なんてオレの部屋には存在しない。玩具は全部忍具だ。
忍術教本もアカデミーの高等学年用だし、養育係なんて戦略講義なんてしてきやがる。

こら、下忍にすらなっていない子供に里の運営方や火の国の国家戦略教えてどうする。
オレはめんどくさいのが嫌いなんだぞ!

でも講義内容は楽しくてそれなりに心待ちにしていた。
やっぱ日常的に戦争状態みたいな忍者の話って面白い。
とくに騙し合いってのがすげぇ。オレ単純な方なんで騙されるとあっさりやられちまうだろうなー

俺の家庭教師はエビスだった。
火影が自分の孫を任せるだけあって有能だわこの人。
知ってる術の数が半端ない。

ゲームとして印と術の名称をしりとりみたいに繰り返す。

エビスがババっと印を組んで、俺は術名を応える。
正解するとチョコ菓子一つ。そんな感じのゲームだ。

たまに世話焼きに来たくの一にセクハラする。
部分倍化でチンコでかくしただけなのに、「セクハラー!!」とぶっ飛ばされた。

世知辛い世の中だぜ。



忍具の投擲訓練もすぐにマスターした。
投擲法を教えてもらい、手裏剣やクナイのバランスをつかめば楽勝だった。
一日で投げ方をマスターしたオレは、たまに矯正される程度で一度に投げる枚数を増やしていった。

親指で鉄弾を弾き飛ばす指弾も収めた。
こっちは現実世界での趣味みたいなモンだったから、即座にマスターした。
BB弾で飼い猫相手に遊んでいたのが役に立ったよ。
指と鉄弾にチャクラ篭めるだけでえれーダメージ違うのにはびっくりした。
撃ち込んだ等身大の藁人形の頭がふっとんだ時には呆然としてしまった。

まぁいいか。

5歳になったとき、火影の爺さんがオレを孤児(九尾事件のときに発生した)達と遊ばせて人間関係を築かせようとしていたみたいだけど、それはできなかった。
親が死んで仕方がなく孤児になった奴等から見れば、両親がいながら捨てられたオレは格好の苛め対象だったんだろう。
こずいてくるガキ大将をボコってしまった。
まぁしょうがない。泣き叫んで許しを請うガキ大将をさらにボコってたから。

案外捨てられたことは俺にとってもトラウマだったようだ。
気絶したガキ大将の耳を引きちぎろうとしていたところ、駆けつけた中忍達に取り押さえられた。

それ以降オレは他の子供達との関わりが一切無くなった。
オレの養育係兼修行相手もエビスと中忍になったばかりのうちはイタチになった。

火影からしてみればできるだけ年齢が近い人間を養育係としてつけたかったんだろう。
実力的にオレより勝り、なおかつ年齢が近いとなればうちはイタチが適任だった。 それにオレも既に秋道一族の倍化の術を納め、実力的には中忍クラスだったためでもある。

イタチに倍化の術を教えてやったこともあるが、秋道一族の秘術といわれるだけあって、倍化の術は秋道一族以外では酷く使いづらい術だった。

倍化の術とは変化の術である。それが秘術とまで言われるのはひとえに倍化の術のチャクラ消費の少なさに他ならない。
普通の忍びが変化の術を応用して倍化の術の真似をするのに使用するチャクラを100とすると、 秋道一族は15程度ですむのだ。
しかも秘伝の3色団子は秋道一族以外が食べると、チャクラが暴発するという危険物でもある。

単純な技の割には結構考えてある術だよな。

それに攻撃について言えば、秋道の一族は速さや鋭さよりも面での攻撃を主眼においてるみたいだ。
確かに自分より素早い相手には点や線の攻撃より面の攻撃が有効だし、自分より遅い相手ならなおさら有効だ。
ショットガンを装備したような感じだと思ってくれい。

写輪眼こそ使ってこなかったが、うちはイタチが天才といわれるだけあってオレは一度として勝つことはできなかった。
もう少しで写輪眼を使わざるを得ないところまでは行けたんだがなー
結構楽しかったイタチとの修行もイタチが暗部に入ったところで終わってしまった。BL展開が無くてほっとしたのは秘密だぜ?

その時いくつかの戦闘方法を身に着けた。
自分よりも素早く体術の優れた相手にはカウンターこそが有効な攻撃だった。しかも肉を切らせて〜系。
空手の構えから突き出す瞬間に部分倍化の術をかけ、面の攻撃をする。
相手からしてみれば仕掛けた瞬間自分の身長位の拳が飛んでくるのである。

でも折角覚えた投擲術や指弾ってのがあんまり役に立たなかったのが残念だった。
元々秋道一族の面の攻撃体系からしてみれば点の投擲術は回避されるわ弾かれるわ、指弾もチャクラを篭めてても距離が離れているとあっさり回避されるし、距離が近いなら部分倍加で殴ったほうが威力が高くて回避も弾きもされないしで・・・

むー忍者っぽくないなぁ

代わりに倍化した腕で大量の小石を握って投げつけてやると、クラスター爆弾のような効果になるのがわかった。流石のイタチも土流壁で防いでたから回避が難しいのが解って嬉しかった。

ついでに火影に頼んで鉄製の篭手を作ってもらった。簡単な操作で篭手の表面に無数の針が生えるという奴だ。
これを部分倍化の術で一緒に倍化して、相手に食らわせると、鉄製の巨大なスクリューをぶち当てられたみたいに粉々になることがわかった。

針を出さなくても、鉄で補強された拳がぶち当たればただではすまない。
それだけで十分だ。

うむうむ。特にどんな相手であろうとも大ダメージを与えられる一撃を持つのは戦術の幅が広がって実によろしい。



そんなこんなでオレはアカデミーに入学することになったのだ。
ちなみに秋道夫妻は一度もオレに顔を見せなかった。



入学式と同時に2つ上にオレにボコられたガキ大将がいて、仲間を集めて俺を襲ってきた。
20対1だぜ?しかも全員鉄パイプやクナイを装備してやがる。
集団心理でもしオレが負けたら殴り殺されるに違いない。
酷いもんだ・・・倍化の術で廻りの餓鬼をなぎ払い、ガキ大将を掌に捕まえて力を篭めるとボキボキと骨折音がした。俺は特に感慨を抱かなかった。
コイツ俺を殺しにきたんだ。
だったら殺すしかない。と思ってさらに力を篭めようとしたら教師連中に取り押さえられてしまった。

自分の身を守っただけなのだが・・・



苛められなくなった代わりに誰も話しかけてこなくなった。
オレは入学1週間でアカデミーに通わなくなっていた。



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