【第16話 取り合えず生きてみるよ】



医療施設のベッドの上で目覚めてから、更に1週間ベッドの上で過ごしてからリハビリが始った。
リハビリって言っても松葉杖を左脇に、そして左足で歩けるようになるための歩行訓練である。
しかも呪印暴走状態で{慣らし}をやらされたせいで、何の因果か右半身は半魚人。 しかも右腕右足右目は大蛇丸によって切り取られ、臓器でさえ二つあるものは一つに、一つのものも部分切除された。

俺・・・主人公だよね?

ジェットコースター並みの急転直下な不幸人生を送っている俺も入院生活が暇なので看護婦をからかってみたりする。
まず部屋を出て床に這い蹲る。で、曲がり角に隠れて・・・んふ、看護婦発見!
角から出て、看護婦に見つけてもらう。

「あ、秋道チョウジ?勝手に部屋を出ては」

そういって近づいてくる看護婦めがけて超匍匐前進!!!レンジャー!!!
ヒッと看護婦が息を詰まらせる。ニヤリ

「クキーーーーーーーー!!!」

奇声を上げ、白目を剥いて看護婦に近づくと、看護婦は慌てて逃げ出した。
かなりの逃げ足だが俺の匍匐前進も負けちゃいねぇ。それにこのアングルからの眺めが俺を加速する!!
白か黒か?赤とか紫は勘弁な。ベージュとピンクもありか・・・

「イ、イヤーーーーーーー」

「ギョギョギョギョギョ!!」

そりゃ今の俺みたいなのが奇声上げながら這いずってきたらビビるよ。どこのサイレントヒルだ。
幼い子供なら間違いなくトラウマになる。
今度は異なる奇声を上げながらびったんびったん跳ねながら追いかける。
楽しい。ほんとに楽しい。こんなに楽しいのは初めてだぜ!!
と、看護婦が振り向く。

「ッウォラ!!!!」

「ゲベ!!!」

電光石火の回し蹴りを側頭部くらい壁に叩きつけられる。
ああ・・・そういやここって音の里で、看護婦は皆くの一だったんだ・・・



「ここの看護婦は強暴過ぎる!。謝罪と賠償を要求するニダ」

まだ良く喋れないので、メモに左手で書いて大蛇丸に見せる。
するとメモはビリビリに破かれ、さらにビビビっと頬をはられた。ぎゃ、虐待だー!!

「チョウジ君。そんなに元気ならさっそく私の実験に付き合ってもらうわ。聞きたいことも調べて欲しい事もあるし」

「ふぁ、ふぁい」

張られた頬が痛い・・・この野郎・・・ぶったね!親父にもぶたれたことないのに!!と言おうと思ったが止めとく。
言っても誰も理解してくれないし、そもそも上手く発音できないし。

「筆談でいいから、貴方の今までの人生を短く、かつ重要部分は鮮明に教えてもらおうかしら。ああ、嘘を付いたら・・・罰を与えるわね」

・・・なんでこの人は俺の体を舐めるように見ながら舌をベロンベロンさせるのだろうか。
マジ貞操の危機。いうなればホモ行為を強要される捕虜。ってそのまんまか。

そういうわけで俺は俺が異世界人というところを隠して、説明した。
気が付いた時には秋道チョウジになっていた。自分が誰なのかは解らないが一般的な価値観や常識、知識を持っていたこと。
隠すということをしなかったため、すぐにそれが木の葉の里の上層部に知れ渡り、すぐに隔離され、監視されていた。

火影の家に2年間住み、忍びとしての教育を受けていた。アカデミーにも1週間ほど通うが喧嘩で自主退学。
うちはイタチとエビス特別上忍が家庭教師になる。
それもイタチが暗部になると同時に教育は終了し、一人暮らしになる。生活費は支給されていた。
暗部が監視に付くことになった。その間自炊生活と修行を兼ねて修行を続けていた。

ある時松茸と間違えて毒キノコを食べて死に掛けた時に、血流を操って毒を排出し、他の細胞で傷を塞いだこと。
偶々胃酸の威力を知って、血流の操作を駆使して胃の細胞を集めて手足に作り出して武器にしていたこと。

それらの説明をすると大蛇丸は考え込んだり、楽しそうにしたり、俺をモルモットとして観察してみたりと百面相をしていた。
さほど質問をしなかったところからすると、暗部に監視されている俺をさらに大蛇丸のスパイが監視していたみたいだ。

くふぅ・・・いかに大蛇丸といえどもさすがに異世界人とは思うまい・・・

大蛇丸の不死の術が憑依だと知っていたのはなぜか?
これは火影宛ての報告書をたまたま見たからだと伝えた。報告書を作成したのは自来也だとも伝えた。
大蛇丸は自来也の名前に一応納得したみたいだった。

火影の家で覚えた禁術についての質問が一番細かかったが、リストアップして見せてやるとすぐに質問を止めた。 俺の覚えた禁術は習得難度の低い、低レベルの禁術(なんじゃそりゃ)だったようだ。



大蛇丸が俺を監視していたと確信したのは、大蛇丸が螺旋丸の習得とか日向一族とのかかわりを聞いてきたからだ。
螺旋丸は俺が閲覧できるレベルの禁術じゃないし、日向一族は木の葉でも極めて保守的な一族だ。異端である秋道チョウジに近づかせるようなことはしないはずだと。

まず螺旋丸についてだが、木登りの修行の際にチャクラが多いと木の肌が弾ける事を知り、チャクラによる攻撃力の強化を思いついたこと。
最初のイメージは刃物だったが。ただチャクラを一々刃物にするくらいなら普通に刃物を持ってた方が良い。 だからドリルにした。ドリルを創っていて回転数や威力を弄っている内に螺旋丸になった。

監視されていたことを踏まえた上での即興的な嘘だが、それなりのものだと言える。伊達に三十路オーヴァーじゃねぇぜ。

日向ネジについてはありのままを話した。特に隠すことは無かったからだ。

ここら辺は大蛇丸はあまり表情を変えなかったな。
信じたのか、あるいは大して重要な事でないのかは解らないが、とりあえずそれで質問は終わった。

柔拳については、チャクラコントロールに自信があったことと、ネジとの出会いと修行。 そして既存の技術をさらに改良するのが好きだといっておいた。
まぁ大蛇丸クラスからすると俺の使う柔拳なんて物真似+我流程度の代物程度にしか見ていないが。

中でも特に大蛇丸の質問が集中したのは味覚による解析だった。
毒キノコを食って死に掛けたこと。それ以来味覚が鋭くなり、食べた物の成分がわかるようになってきた。 あとはチャクラの集中による解析能力の向上が面白いので試しまくっていたことと、野生的な食生活環境が解析能力を磨いていただけという答えにはあまり満足してないようだった。
ってか、実験させられたしね。


実験っていっても解剖されるとか改造人間になるとかじゃない。
もう既にその段階は終わっているんだと。
まぁ・・・随分持っていかれたしね。

で、あんまり言いたくないが、その実験てのが大蛇丸が採取してきた各地の血継限界や特殊能力、奇形の細胞を解析させられるというものだった。
何勘違いしてんだ、俺の舌は成分の解析しか出来ないの。それにカニバル・ハンニバルじぇねぇんだよ。人間の一部なんてくいたくねぇーことこの上ねーー
味?しらねぇーーー知りたくねぇーーー(∩゚д゚)アーアーきこえなーい
皿の上に束ねた白髪が出てきたとき、春雨?とか思わず聞いちゃったし。
やだーとごねたところボコられ、呪印で激痛を与えられ、掘るわよ・・・と脅されて泣く泣く解析したもんだ。

どうも君麻呂の髪だったみたい。

取り合えず解析してみると毛髪には常人の数十倍のカルシウムが含まれている事が解った。だから白いのか・・・
カグヤ一族が屍骨脈を使った攻撃をするにはこれくらいの濃度が必要だということか。常に血中に高濃度のカルシウムが存在する。
屍骨脈っていう血継限界はまぁ便利といえば便利な能力だが、所詮武器や防具で代用できる能力だよな。皮膚の下に骨の鎧を着ることが出来るのは凄いか。
異常に多いカルシウムが各種臓器や血管で結石のような、あるいは化石化とも言うべき状況を作り出していると推測する。

これは遺伝病だな。どうしても長生きは出来ない。
それに君麻呂自信が血継限界を使い過ぎたのだろう。臓器移植程度ではもう助からない。
全身の肉で出来た臓器や神経血管等の全てを入れ替えれば・・・あ、でも血継限界自体があるからいずれ多臓器不全に陥るか。

うむ。どうしようもないな。

解析結果と予想を大蛇丸を伝えるとすこし落胆した様子だったが、あっさりと元に戻った。
ダメだと思っていたものを改めてダメだと知らされたって顔だ。

それ以降なんか細胞が溶け込んだ液体を飲まされたし、磁石みたいに付いたり離れたりする細胞とか、クモの遺伝子を含んだ細胞とかアメーバーの集合体のような細胞も解析させられた。
中には乾燥された年代物と思しきサンプルまであった。俺はソムリエじゃねぇ!!!!
どうも、俺以外の捕らえられた実験体や死体から採取したサンプル。部下や暁の連中の細胞とかだったようだ。大半が毛髪だったがホルマリン臭い眼球そのものも解析させられた。
これ多分うちはか日向だよな。あ、黒目があるからうちはか。

イタチが一族を皆殺しにしたときいくつか死体を回収していたんだろう。
さすがに拒否したが全裸にされてうつ伏せになるに到っては、流石に心が折れて解析した。処女と眼球食い・・・どちらが良かったんだろうか・・・
なんか不満そうに舌打ちしていた大蛇丸が怖い・・・

うちはの目、写輪眼は眼球はもちろんだが視神経が凄かった。
一般人がガラスと電話のケーブルだとすると写輪眼はハイビジョンカメラにサーモ付き、光ケーブルって感じ。
目によって得られる情報が多すぎてそれ専用の脳みそじゃないと扱えない。

この目を一般人が移植したとすると脳が写輪眼に対応できない。
何かを見るたびに脳に激痛が走るし、脳にかかった過負荷は様々な症状を引き起こすに違いない。
その上写輪眼で得られる情報も少ないと。素人にはお薦め出来ない。

そういうと、大蛇丸がカカシという実例を挙げたが、俺は別の推測を応える。
移植した写輪眼が開眼して間もなかったか、三つ巴の写輪眼じゃなく二つ巴の写輪眼だったんじゃないか。
それに移植された時カカシがまだ成長期だったというのも重要だと思う。
まだ脳が成長する過程だったから脳が新たに繋がれた写輪眼に慣れる余地があったのかもしれない。

俺の予想に大蛇丸は非常に満足していた。予想が大蛇丸自身の仮説と一致したからだろう。

解析し終わると吐き出したが・・・それでも俺の食欲がなくなるようなことは無い。
傷つけられた臓器を直すためにも俺は栄養が必要だったからだ。血と肉と骨・・・俺の体には不足している。

ばれないように臓器を直していたが、何度目かの検診でばれました。
大蛇丸は大層喜んでおったそうな・・・潰れるまで何度でも新術の実験が出来るとかなんとか・・・ (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル



解析作業を含めて2ヶ月が過ぎた。今は本編のどのあたりだろうか・・・再不斬辺りか?それとも中忍試験?
木の葉の里の情勢を尋ねてみたらホームシックかと笑われ、それ以来聞くのを止めた。

キン・ツチとか多由也には会えていない。会えたらエロイ目で(・∀・)ニヤニヤしようと思ってたのに・・・・
不幸な人生における唯一の楽しみだったんだが医療施設から研究施設へダイレクト移送されたので、音の四人衆やカブトとかにもいまだもって会えていない。
おま、本当に人間扱いしねーな。

それでも1日数種類の細胞を2ヶ月間も集中して解析ばっかやってればさすがに大蛇丸の秘蔵のサンプルもあらかた解析し終えた。
そういや大蛇丸の細胞から魂の劣化具合とか調べさせられたけど解らなかったな・・・

通常の手順で行われる解析作業だと、数人の科学者が数ヶ月かかるが、俺の解析能力だと数秒から数分で終わるんだから実験室では重用されているっぽい。 やはりここの連中には人間扱いされていないが・・・まぁ、それはいつものことである。
ちなみに解析し続けていたらいつのまにか解析の精度が上がっていた。
お陰で今はDNA鑑定とか毒物の解析までやらされてる。毒の解析って言っても原液をそのまま飲むわけじゃない。死ぬって。
カルピスみたいに薄めてから飲んでるが、やはり毒は毒。発汗吐き気悪寒嘔吐喀血下血が日常である。それゆえここ暫くは細胞の養殖も切断された手足ではなく、毒に汚染された箇所の入れ替えに使われている。

音隠れも隠れ里。いくつか民間からの依頼を受けている。
でも木の葉の里みたいに畑仕事とか子守りなんて仕事はこない。暗殺とか暗殺とか謀殺とか誘拐とか・・・いわゆる警察組織には頼めない類の事件の捜査とかも依頼されてくる。
指紋採取等の科学捜査が無いこの世界では臭いとかで追跡して、不審人物は軒並み捕まえられては拷問とか洗脳とか幻術による自白なんかで犯人を割り出そうとする。
で、そこに秋道チョウジというDNA鑑定装置がやってきたら・・・解るよね、ラッキーとばかりに使い倒されたよ。

でもマジ勘弁。
毛髪や皮膚とかならならまだしもレイプ事件の容疑者の精液とか解析させられそうになったよ。
本気で泣いて土下座して、なお強要されそうだったので舌を噛み切ろうとしたらようやく許された。

ああ・・・俺は魂の尊厳を守ったのだ。研究者達だったから何とかしなくて済んだけど、大蛇丸に強要されてたら・・・ヒィィィ!

その代わり新しい毒物の実験とか、毒の解析の仕事を増やされた。
それはそれで辛い仕事である。しかもノーマネーでフィニッシュでございます。

・・・もう生きているのが辛い辛い・・・

それに研究施設の連中は匂うんだ。これはホルマリンの標本とか死体とか扱っているせいだな。
汚染を防ぐために頻繁に手洗いや衣服の交換、全身洗浄をしても中々落ちない匂い。これはきっと悪臭が肺から血中に吸収され、全身から発散されているに違いない。
ってか消毒薬で体洗うの止めようよ。香りの成分が実験の妨げになるのはわかるが。・・・それと食事もビタミン剤と栄養ドリンクかタバコとコーヒーってのはよそうよ。食事は僕らのホスピタル。医食同源を知らんのか?

あと、これ重要。俺をナンバーで呼ぶな。半魚とも呼ぶな!

全くもって劣悪な職場環境であり、私は労働者の権利を守るためにシュプレヒコールを上げるぞ!人民は搾取されているぅ!!



そんなこんなで解析やら、細胞を採取されたり過ごしていたら時間の感覚がなくなってきた。

最近大蛇丸を見ないな・・と思っていたら、どうも木の葉の里で中忍試験が開かれているみたいだ。
つーと木の葉崩しか・・ケケケどちらも死んでしまえ。
機密保持のため大っぴらに話されることは無いが研究所もぴりぴりしているのが解る。

体内の修復もある程度は終了したので現在右目を作っている。右目には義眼を入れてます。嫌がらせで渦巻き模様。
じっと見てると眩暈がするらしい。鏡見てたら自分でも気持ち悪くなった。

目を作るのは初めてだけど左目の負担を減らすためにも早く作りたい。
昔の俺は眼球を作ることはできなかったが、解析能力も養殖技術も上がった今の俺なら不可能ではない。え?写輪眼を創れるのかだって?

大蛇丸に自分で自分の臓器を養殖していることがばれたとき、写輪眼を創れるか問いただされた。
そりゃぁもう・・愛犬まっしぐらどころじゃない、ものすっごい勢いで。
犯されるかと思ったよ。
俺は迫り来る大蛇丸におびえながら無理だと答えた。

まず眼を造るにしても、その材料は俺の、秋道チョウジの細胞だってことだ。当然俺の細胞のどこにも写輪眼の血継限界なんてない。
それに写輪眼状の眼球を創れるわけじゃない。眼球というのもは非常にデリケートで構造が複雑だし、写輪眼状態の目を作ったとしても写輪眼に似て巴があるが写輪眼の能力は無い眼球ってだけ、写輪眼のカラコンはめたようなもの。

それに過負荷を無くすには視神経の強化や脳の構造をいじらないといけないから、マジ無理。
脳外科医が自分の脳を手術するようなもんだ。

ふーんとその場は引き下がった大蛇丸だが・・・多分作らされるな。
俺が作った眼球を膀胱から取り出して誰かに移植するんだろう。

それに今まで取り込んだ血継限界を体内で作り出し、さらに自分に適用できるとなれば大蛇丸の憑依相手に選ばれかねない。
だから臓器を直しても手や足は後回しにしている。眼球を直すとしたら大蛇丸が誰かに憑依した後だな。

木の葉崩しで両手を使えなくなるのももうソロソロだし、綱手の説得に失敗して実験体で優秀なのが憑依されて・・・ 確か一度憑依すると次に憑依するまで3年かかるんだっけ?その憑依相手も多分サスケだから。まだまだ我慢。

まだ俺が候補になるわけにはいかない。今は雌伏の時なのだ。




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