【第17話 木の葉崩し前夜】



「貴方は不老不死を実現させるとしたら・・・どのような存在だと思うかしら?」

突然研究所内の俺の部屋(独居房)に大蛇丸がやってきて俺に質問をした。
この頃には舌も元のサイズにまで修復できていて、まともな発音が出来るようになっていた。

「不老不死・・・人類の夢ではあるが実在は無いな。
そもそも生物は常に変化する。それは成長や老化も変化だし、死すらも変化でしかない。
だから不老不死とは無変化、無生物だともいえるがあんたの目指す不老不死はそんなものじゃない。
己が常に存在し続け、死ぬことは無く、老いることも無く自由であり続ける。

確かに憑依の術は不老を実現している。それは間違いない。
以前俺が言った自分で無くなると言うのも生物が自然に起こす変化だともいえるしな。

だから究極の個体、何者にも勝る個体になるか、群体・・いかなるものでも滅ぼしきれない数になるかだな」

大蛇丸は興味深そうに聞いている。
うーむこの世界では不老不死を願う人間は少ないのかな?忍者のように危険な仕事ならなおさら願うような気がするが・・・

「何者にも勝るってのは正直難しいだろう・・・強い忍び程脅威とみなされからだ。
強い忍びは常に監視され、研究され、弱点を見つけられて攻略される。大蛇丸、あんただって弱点や相性があるはずだ。
どんなに強くても徹底的に研究され、更に数で押されたら負けちまう。
それに血継限界ってのは厄介だな。強いことは強いが優れた血継限界であればあるほどそれに因った戦闘方法になるし、戦闘方法が固定化されれば対抗方法は簡単に作り出されてしまう。
この間調査した屍骨脈だって物理攻撃に対しては有効だが、酸には勝てない。毒で攻められたり水中に引きずり込まれれば呼吸が出来ずに負けちまう。
それに最強といわれた九尾の狐のような破壊力の塊だって火影一人に封印されてしまった。そんなもんさね。

ところで群体ってのはどうだろう。例えるならインフルエンザウィルスだな。
誰かが風邪を引くとする。薬やら免疫によって侵入したウィルスが滅びてもウィルス自体は滅びない。
仮に特効薬が出来ても数あるウィルスのうちどれかが変化し、進化し、その特効薬が効かないウィルスが出現して誰かに感染する。

それに感染したウィルスがミトコンドリアみたいに宿主に利益を齎したら・・・・人々はこぞって感染しようとするだろう。
すなわち、不老不死とは無限の増殖と無限の進化、そして共存共栄を果たすことだと思う」

ここで一息つく。鉄格子越しにでも大蛇丸が俺の話に興味深々なのが解る。
こいつは好奇心や探究心が刺激されると、口から舌を出して、その舌がうにょうにょ動くのだ。
もうまじグロイ。舐めようとしてきたりするし・・・

「・・・俺なら自分の知識や技術をデータ化して、巻物なんかに封印するね。
中に術式を記しておいて、一見すると術式は俺の知識や技術を習得できるものであるように見せかける。
その術式にはトラップが隠されていて、習得出来る代わりに潜在意識に俺への服従が刷り込まれるとする。
トラップを解除するとデータそのものが壊れてしまう保険もかけてな。

ついでに巻物をより多くのものに見せたくなるってのはどうだろう。
まぁ術式を暗号化してある程度の実力が無いと開けないようにするってのも被験者を選別するのにはいいな。

さらに術式には俺の魂の一部が開いた者の内部に宿るようにする。これは肉体変化系の術の一部にでも偽装すれば・・・まぁ魂の一部というか目印みたいなものでもいい。
で、今の俺が死んだ時、俺の精神は種子を宿した誰かに乗り移り、自動的に憑依するようになっている。

こうすれば巻物を開いた者全てが死なない限り、俺の死もまた無くなる。
ついでに開いた者の知識や技術も常時自分にフィードバックするように出来れば、自動的に強くなれるし。
どうだい?ここまでいけばまさに不老不死だろ?
最初にかなりの量の巻物をばら撒ければ倍々ゲームだ。気が付いた時には感染拡大の速度は防ぎようが無く、最終的には全世界の忍びが大蛇丸の種子を宿すようになり、忍びだけでなく実社会世界さえも支配することになる」

どうだこのカーラのサークレット+貞子の呪いのビデオテープ理論。別名バイオハザードアウトブレイク理論。
大蛇丸の憑依能力は常に個体から個体へと行われているがそれ自体が弱点で、さらに3年のインターバルが必要なことも弱点だ。
だがこのような形態になれれば不老不死も最強も世界征服すらも可能だ。

世界を征服するのに軍はいらねー感染力が高いウィルス一つあればいい。しかも秘密の特効薬まであれば尚更だ。

もちろん欠点はある。巻物の効果が知れ渡れば無効化されるか、最悪逆用されてしまうという点。
特に大蛇丸への服従等が無効化されたら・・・世界中の忍びが大蛇丸クラスなんていう悪夢の世界になりかねない。

巻物を完全に解析されて戦術として各里が真似しだしたら世界が滅びかねないし、まさにNARUTOの世界に核兵器を持ち込むようなもの。
しかしこの世界には屍鬼封尽がある。今は三代目火影しか使えない術だが、あれにかかったら憑依の術とか不老不死なんて関係なくゲームオーバーだ。
もし俺の言う不老不死を成し得たとしても、大蛇丸に感染した者が増えれば増えるほど対策が必要とされ、いつかは必ず屍鬼封尽のような魂を滅殺するような術が開発されるだろう。

だがそういう危険性に思い至らねば、これほど魅力的で完璧と思える方法はない。
思ったとおり俺の発言に大蛇丸はあんぐりと口を空けていた。
思わず何か投げ込んでやろうかと思ったほど間抜けな姿だった。

「あ・・・あきれた・・・というか感心したというか・・・でも確かに」

うんうんと頷いたり、腕を組んで考え込んだりしていた。しまいには

「こんな子供に不老不死の答えを教えてもらうなんて・・・私は今まで一体何を・・」

とか落ち込み始めた。大蛇丸ってこんなキャラだったっけ?
それでも大蛇丸はさっそく実現のための課題について考え始めていた。

「暗示や洗脳を仕込むのは問題なし、植えつけるのは封印術系統かしら?道しるべ程度なら時空間忍術が使えるかもしれない。 憑依の術の3年を無くすには・・・あらかじめ一部を植えつけておくというのが使えるかも。 左近と右近の融合を研究すれば・・・でも魂の切り離しなんてできるのかしら・・・ブツブツ」

「オーイ、おきてるか?」

「え、あ・・・ああ何かしら?今忙しいんだけど」

ビフろうかとも思ったけど右手が無いので止めておいた。
俺の呼びかけにハッと顔を向ける大蛇丸。完全に忘れてたな・・・殺せたかも知れねぇ・・ああ、でも今の俺じゃ無理だな。
なんていうかマッドサイエンティストに気付かなかった視点を与えるとこうなるのかー

「俺の理論は満足してもらえた?」

「そう、そうね。中々面白い・・・というか凄いというか・・・うん。良いアプローチだと思う。
・・・・ああ、それにしても貴方は本当に良い拾い物だったわ。
ご褒美を上げたいくらいよ」

大蛇丸がにこやかに言う。拾い物発言にムカッとしたがまぁ相手は大蛇丸だし。
だがご褒美という単語は気を引く。多分・・・生涯にそう何度も無いチャンスのうちの1つがキタ━━(゜∀゜)━━!!!!
・・・ここはひとつアダルトな展開を。

「どうせダメだろうけど、キン・ツチか多由也をくれー(*´д`*)ハァハァ」

どうせダメだろうけど・・・というところにテレがあるがそれは勘弁な。素面じゃこんなこと言えんぜ。
もし大蛇丸が、「私が可愛がってあげる」とかいったら全力で

N O  T H A N K  Y O U !

  /\___/\
/ /    ヽ ::: \
| (●), 、(●)、 |
|  ,,ノ(、_, )ヽ、,,   |
|   ,;‐=‐ヽ   .:::::|
\  `ニニ´  .:::/
/`ー‐--‐‐―´´\
       .n:n    nn
      nf|||    | | |^!n
      f|.| | ∩  ∩|..| |.|
      |: ::  ! }  {! ::: :|
      ヽ  ,イ   ヽ  :イ

と言おうと思ってたけど・・・

「もう発情期?ダメよキン・ツチは術に使うし、多由也は明日から使うもの。木の葉崩しに」


・・・へ?

明日から木の葉崩し!?な、なんだってーーーー!?
ってキバヤシってる場合じゃない。おいおいおいおひ・・・中忍試験ほとんど終わってんじゃん!!
なんだよ!確かに里は抜けたよ!?主要なキャラとかストーリーにはできるだけ関わらないつもりだったよ!?なのに気付いたら中忍試験の大半が終わってたってどういうことよ。

いや、落ち着け。俺は木の葉の里を出たんだ。その時点で木の葉の里なんてどうでも良いはずだ。
でも可愛い娘とか美人さんが結構いたよな。うむむ、ちと惜しかったかも。

この研究所から木の葉の里まで何日かかるかわからないけど、どうせもう準備は終わってるんだろうなぁ。
えーとこの時ナルトは自来也に弟子入りしてて、ガマ文太と契約して、サスケが千鳥を覚えるんだっけ?螺旋丸はこの時だっけ?
あーなんか混乱してきた。

「木の葉崩しの時何人かくの一を捕虜にしてあげるわ。お好みの子はいたかしら?中忍以上はダメよ」

大蛇丸が気楽に言ってるが失敗するのはわかってる。
音の里の忍びは軒並み殺され、大蛇丸自身も両腕を使えなくなるんだ。
俺という異分子が入ったせいで歴史が変わって、大蛇丸が完全に死んだりしたら嬉しいのだが。

「好みと言っても下忍で知ってる奴なんて日向ヒナタ、日向ハナビとか・・・山中いの、春野サクラ、テンテン・・・ぐらいか?」

「あらそんなにいるの?貴方も好きねぇ・・・
日向一族は難しいけど山中一族は最優先で抑えてくるわ、必ず。魂を移すという彼らの秘術を研究したいし・・・・
そうね、捕獲班に人材を廻しておくわね。後の娘は運次第?」

「ハーレムって素晴らしいことだと思う。それと、もし木の葉崩しに失敗して、なおかつ多由也が生きていたらくれ。ぜひぜひプリーズ」

多分というか物語の進行上捕獲も誘拐も成功しないだろうが、確か多由也は生きて帰ってきたはずだ。
まぁその後サスケの里抜けで死ぬんだっけ?同人誌だと木の葉の里に捕まってたけど・・・
取り合えず安全策をとるのである。なに急にエロイ展開になってきた?うるへい。
安らかな人生を望んでいたんじゃないか?って。だまっぷ。

あのねぇ、モルモットなってみ?マジで人生観変わるから。
おめでとう!ありがとう!ってな具合の自己啓発セミナーなんて目じゃねぇ。そんな俺にとっては明日の安楽より今日の快楽っす。

ってかね、今俺が生きているのも実験動物から解析装置へ華麗にジョブチェンジしたお陰であって、本来なら捕まっら拷問→解剖→標本という流れ作業で終わるはずの人生だったから。
ついでにもしこれから俺が自由になるとすれば、大蛇丸が死ぬという展開以外ない。
だからチャンスは逃さないことにしたのだ。エロスであろうとなんであろうと、手に入るものは全て手に入れる。今ならフォースの暗黒面だって身につけられるぜ。

「失敗する気は無いわ。必ず木の葉の里は潰す」

気分を害したように大蛇丸が宣言する。
やべぇ薮蛇っぽい。大蛇丸だけに。蛇の尾を踏んだってか?

「あんたのことだ、失敗しようが無いくらい練られた計画なんだろうよ」

「当然ね」

「だが、あんたの計画は完璧すぎてイレギュラーに対する余裕が無いんじゃないか?」

大蛇丸が怪訝そうな顔で俺を見る。

「それはどういうことかしら?」

「いや、悪役の立てる計画って必ずどこかでイレギュラーが起きて失敗するだろう?だからさ」

「あら、私悪役なの?」

「おまっ!どこからどうみても現役バリバリの悪役だろうが!!」

思わず突っ込んでしまった。
その途端大蛇丸がニコーリと笑って俺をぶっ飛ばした。
半ば意識を失って吹き飛んでいる俺に大蛇丸の連続攻撃がきまり、口のきき方が解ってないようねとか、大蛇丸様とお呼び!とか力抜けよとか言いながらボコられました。

気が付いた時には3日たっていましたよ。ええ。
全身打撲でドリアンにやられた加藤並みのボロボロでした。

口は災いの元って昔の人は良いこと言うなぁ・・・・



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